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「ぶらり歌碑巡り」タイトル

アカデミア青木

http://www.maboroshi-ch.com/hoso/item-43.html
ラジオ版・ああ我が心の童謡〜唱歌編
http://www.maboroshi-ch.com/hoso/item-50.html
ラジオ版・ああ我が心の童謡〜童謡編
まぼろし放送にてアカデミア青木氏を迎えて放送中!

碑

第45回 『金魚の昼寝』

 日溜まりの公園で、暮れなずむ街角で、夜のしじまの中で、ひとり「童謡」を口ずさむ時、幼き日々が鮮やかによみがえる…。この番組では、皆様にとって懐かしい童謡の歌碑を巡ってまいります。今回は、『金魚の昼寝』です。
 高度成長期を経て、金魚はペットショップで買ったり、縁日の「金魚すくい」でGETするものになりましたが、皆さんの中に「金魚売り」と呼ばれる行商人から金魚を買い求めた経験のある方はいらっしゃいませんか?金魚を入れたタライを天秤棒で担いで、「きんぎょ〜え、きんぎょ〜」と声を上げながら、路地から路地へと売り歩く金魚売り…。今ではとんと見かけませんが、童謡『金魚の昼寝』が出来た頃は大勢徘徊していたことでしょう。この歌を作詞したのは鹿島鳴秋、作曲したのは弘田龍太郎。『浜千鳥』、『お山のお猿』と同じコンビです。



『金魚の昼寝』(大正8年に作曲。歌詞は与田準一編『日本童謡集』岩波文庫 収録のもの)
 作詞 鹿島鳴秋(かしまめいしゅう、1891−1954)
 作曲 弘田龍太郎(ひろたりゅうたろう、1892−1952)

 

碑

 

 赤いべべ着た
 可愛(かわい)い金魚。
 お眼々をさませば
 御馳走するぞ。

 赤い金魚は
 あぶくを一つ。
 昼寝うとうと
 夢からさめた。

 

 「べべ(=着物)」という幼児語が出てくることや、「御馳走するぞ」という男言葉が使われていることから、声を掛けているのは幼い男の子でしょう。主人顔する男の子はエサで金魚の歓心を買おうとします。一方、うとうと昼寝をしていた金魚はアンニュイな様子で目を覚まします。「あぶくを一つ」吐いたのは、男の子の呼びかけに驚いたのか、エサをちらつかせる男の子を小馬鹿にしたのか、はっきりしませんが、金魚の泰然とした様子から主従関係が逆転し、男の子が金魚の給仕係に見えてきてしまいます。歌詞は短いですが、寓意に満ちた歌です。
 鹿島は東京の深川の出身ですが、当時深川近辺は金魚の一大生産地で、明治末には東京都下の養殖場の9割がここにありました。彼が金魚の童謡を書いたのは、幼い頃から金魚が身近な存在だったからかもしれません。
 さて、『金魚の昼寝』の歌碑ですが、作曲者弘田龍太郎の故郷・高知県安芸市の「江ノ川上公園」の入口に建てられています。公園の中には、安芸市出身の実業家で三菱財閥の基礎を作った岩崎弥太郎の像が立っていますので、ご興味のある方は是非こちらもご覧になって下さい。

岩崎弥太郎像

岩崎弥太郎像


[参考文献

与田準一編『日本童謡集』岩波文庫 平成元年(36刷)

日本近代文学館、小田切進編『日本近代文学大事典 机上版』講談社 昭和59年

若月紫蘭『東京年中行事1(東洋文庫106)』平凡社 昭和62年(12刷)]

場所:高知県安芸市江ノ川上公園入口
交通:土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線安芸駅より徒歩6分


2006年7月6日更新
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[ああ我が心の童謡〜ぶらり歌碑巡り]
第44回 『雀の学校』
第43回 『お山のお猿』
第42回 『俵はごろごろ』
第41回 『兎のダンス』
第40回 『青い眼の人形』
第39回 『シヤボン玉』
第38回 『雨降りお月さん』
第37回 『かごめかごめ』
第36回 『蜀黍畑』
第35回 『あの町この町』
第34回 『黄金虫』
第33回 『四丁目の犬』
第32回 『七つの子』
第31回 『背くらべ』
第30回 『浜千鳥』
第29回 『通りゃんせ』
第28回 『宵待草』
第27回 『案山子』
第26回 『仲よし小道』
第25回 『七里ヶ浜の哀歌』
第24回 『城ヶ島の雨』
第23回 『どんぐりころころ』
第22回 『十五夜お月さん』
第21回 『浜辺の歌』
第20回 『叱られて』
第19回 『故郷』
第18回 『砂山』
第17回 『兎と亀』
第16回 『みどりのそよ風』
第15回 『朧月夜』
第14回 『早春賦』
第13回 『春よ来い』
第12回 『鉄道唱歌』(東海道編)
第11回 『赤い靴』
第10回 『靴が鳴る』
第9回 『紅葉』
第8回 『證城寺の狸囃子』
第7回 『かもめの水兵さん』
第6回 『箱根八里』
第5回 『赤い鳥小鳥』
第4回 『金太郎』
第3回 『荒城の月』
第2回 『春の小川』
第1回 童謡が消えていく
[ああわが心の東京修学旅行]
最終回 霞が関から新宿駅まで 〜霞が関から山の手をめぐって〜
第8回 大手町から桜田門まで 〜都心地域と首都東京〜
第7回 羽田から芝公園まで 〜城南工業地域と武蔵野台地を訪ねて〜
第6回 銀座から品川まで 〜都心地域と都市交通を訪ねて〜
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第3回 神保町から上野公園まで 〜文教地域を訪ねて〜
第2回 新宿駅から九段まで 〜山手の住宅地域と商業地域を訪ねて〜
第1回 データで見る昭和35年


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