手元にあるのは、"銀座小松ストアー"と書かれた、高さが約8㎝ほどの、小さなカード立てです。写真立てのように、カードを差し込んで立てることができる構造になっています。いったい、どのように使われていたのでしょうか? 値札立てとして使うには、凝ったつくりだと思うのです。木製で、ところどころ塗料がはげてしまっているけれど、なんだか、とても懐かしい感じがします。このデザインは、紙袋から、こぐまがひょっこりと顔を出しているイメージでしょうか? 白地に赤い水玉模様のリボンも、嬉しそうな表情のこぐまも、とても可愛い。
どこの売り場に置いてあったのでしょう? この可愛らしいデザインから想像すると、やはり子供に関する商品を置いていたところではないでしょうか?
余談ですが、うちの娘を見ていると、動物にはものすごく反応がいいのです。例えば、鳥なら、鴨くらいの大きさが「がーがー」、雀が「ちっち」、カラスが「かーかー」、ペンギンが「ペンペン」、猫やトラなどは「ニャーニャー」、犬や獅子舞、狛犬は「ワンワン」、 ウサギは「ピョンピョン」などと、いうようになりました。散歩の途中に、これらの動物が看板に描かれているのを見つけると、指を指して、しばらく動きません。そして、ニッコリと「かーいいねー(可愛いね)」と喜んでいます。私は内心、可愛いってわかっているのかな? なんて疑問視しているのですが、小さいのにえらいなぁと、日々感心しているのでした。
‥‥と、話が横にそれましたが、お店に、このこぐまのカード立てがあったら、娘は間違いなく指をさし、手が届けば、手にとって「かーいいね」っていったでしょう。なので、きっと、子供のモノと一緒に並んでいたと思うのです。
「夢と文化生活」を提供する小百貨店でありたいと、昭和21(1946)年4月20日に、銀座にオープンした小松ストアーについては、こちらを読んでいただくと、小松ストアーの歴史にはじまり、当時の世相も垣間見ることが出来ます。創業者の小坂武雄さんは、「繁栄は、カインドネス(親切)、クイックネス(迅速)、クリーンネス(清潔)、ソートフルネス(思いやり、相手の身になって考えること)の、4つの"ネス"にある」と、指導してこられたそうで、現在にも通じるこの言葉に、ナルホドと納得しちゃいました。残念ながら、地方出身者である私には、縁がなかったお店ですが、この小さなこぐまのカード立てと出会い、小松ストアーのホームページを拝見して、リニューアルオープンしたお店には、ぜひとも行ってみたいと思いました。ちなみに、カード立てに描かれた小松ストアーのロゴは、昭和21年に、小松ストアーの"小松"こと、小さな松をイメージしてつくられたそうです。