暮らしの最近のブログ記事

47-1.JPG

 47-2.JPG

坂道に囲まれた町を、1歳の娘と自転車で散歩をするのが日課の私に、「一番どこの坂道が好きですか?」と聞かれたら、私は「菊坂!」と答えたいと思います。本郷通り沿いの本郷薬師近くにある菊坂通り。比較的長くて、傾斜が緩やかで、春日まで下ることができます。そして、5千円札に肖像画が描かれている、作家・樋口一葉さんが住んでいたことでも、有名な場所でありますが、それが好きな理由ではありません。菊坂は、ほかの坂道に比べると、車通りが少なく、「ぶ~ん」といいながら、安心して自転車で下ることができ、娘がとても喜ぶからです。通りの真ん中には、"菊坂コロッケ"を販売する"まるや肉店"をはじめ、魚屋"魚よし商店"、先には"上田屋豆腐店"などがあり、保冷バック片手にひとっ走りすれば、パパッと買い物ができるのもありがたく、ずらりと並ぶ街灯には、風鈴がつけてあるのも、特徴のひとつです。もちろん夏だけだと思いますが、「リーン、リーン」という、美しい音色を聞きながら、自転車で通り過ぎると、暑い気持ちにひと息つける感じがするのです。風鈴の音はうるさくないかって? それが、うるさくないのです。ついている風鈴が、すべて鉄の風鈴だからです。鉄の風鈴って、ガラスに比べると、見た目の華やかさには劣りますが、音が優しくて、深みのある、甘い音色といいましょうか。ずっと鳴っていても、私はうるさいと感じたことがありません。わが家でも、7年ほど前に"銀座たくみ"にて、南部鉄の風鈴を求め、以来ずっと窓辺に飾っているのですが、心地よい音を奏でてくれます。

47-6.JPG

南部鉄といえば、ひと昔前につくられたと思われる栓抜きを持っています。それも、こけしの形をしています。フリーマーケットで見つけた時に、結った髪の毛といい、微笑んでいる優しい表情といい、とても可愛らしい栓抜きだと思いました。裏面には「南部」の文字と、薄くて見えづらいのですが、「JAPAN」の文字が描いてあり(写真には写りませんでした)、手で握ってみると、なんともいえない感触です。素朴で、持ちやすく、鉄なのにあたたかい感じとでもいいましょうか。嬉しい気持ちで、つれて帰りました。

南部鉄器の産地は、いわずと知れた岩手県奥州市と盛岡市ですが、私は、どちらも訪ねたことがありません。もう少し子供が大きくなったら、ぜひとも行ってみたいと思っている場所のひとつなのです。それにしても、栓抜きを自宅で使うことって、ずいぶん減りましたね。うちはお酒も飲まないクチなので、特に使わないというか‥‥。なので栓抜きというよりは、テーブルに置いた紙類の上に、ポンッと無造作に置いて、紙が飛ばないようにしています。

47-8.jpg

そうそう、こけしがらみで、以前"こけし郵便"と一緒にご紹介した、"箱橇っ子人形"と同じ箱橇が写った絵葉書と出会いました。「子供の雪遊び(山形)」と右横書きで書いてある、戦前の絵葉書です。箱橇っ子人形が生まれたのも山形県でした。実際に使っていた様子がわかると、ますます親しみがわいてきます。玩具にも地域性がでると、楽しいですね。

47-7.JPG

 

気になる街角 

<本郷館 その3>

本格的に工事がはじまりました。

47-5.JPG

 

人気ブログランキングへ  

46-1.JPG

46-2.JPG

骨董ジャンボリーの翌日、7月23日、日曜日は、案の定、身体のあちこちが痛みました。10キロ近い娘を抱っこしながら長時間歩くには、もう若くないよなぁと、しみじみ思いつつ、このくらいの痛みなら、かえって動いたほうがいいかも‥‥なんて思ったりして。逆治療法ってありますよね。ひさしぶりに大きな骨董市へ行ったせいか、身体はさておき、気持ちは晴れ晴れといった感じの私は、少し前から門前仲町までの行き方を、頭に入れていました。この日も気温は28度とちょうどいいし、わが家からの距離としては、浅草より遠いのですが、坂道がないぶん楽チンなはず。のんびり自転車をこいでいけば、たどり着けると思いました。

46-3.JPG
46-4.JPG毎度のごとく、早朝、といっても7時ですが、出発しました。日曜日の東京は、車も人も少ないのがいいんです。もちろん、自転車好き(?)の娘も一緒に。浅草方面の下町風景と違って、オフィス街の大きな四角いビルを、不思議そうに見上げる娘と永代通りを走りながら、左手に日本橋水門を見つつ、東京は知れば知るほど、奥の深い土地だと感心していたら、見えてきました。永代橋が! う~ん。大きい! 実にカッコイイ橋です。隅田川って、もっと遠い印象があったのですが、こうやって、自転車で渡ることができると、身近に思えるから不思議です。隅田川といえば、架かかっている橋たちは、どれも形が違い、立派です。公共の橋なのだから、同じ形でいいように思いますが、ひとつひとつデザインして、特徴をつけたあたり、見事というか、さすがだなぁと思うのです。そして、どの橋も関東大震災跡の復興橋です。大きく立派な橋が架かるたびに、前進していくような力強さと、たのもしさを、誰もが思いながら眺めたのではないでしょうか。ちなみに、永代橋は隅田川の河口に位置していることから、門のイメージでデザインされたそうです。また、永代橋は男性をイメージし、となりの清州橋は女性をイメージしてデザインされたとか。

46-13.jpg

46-14.jpg

 ついでといってはなんですが、戦前の永代橋と清州橋の絵葉書がありますので、ご紹介します。橋って、丈夫ですね。色は違いますが、形は昔も今も変わりません。

46-5.JPG
46-6.JPG
46-7.JPG

そんな永代橋を渡り、到着したのは富岡八幡宮骨董市。今年の1月に来て以来です。あの頃は、出かけるだけで、ものすごく勇気が入りました。娘は小さくて、いつ泣きだすかわかりませんでしたから。それが今では、つたい歩きと高速ハイハイが上手になり、「ナイナイ、バ~」と話します。本当に成長の早さに驚かされています。

‥‥と、話が横にそれましたが、今日は骨董ジャンボリー最終日なので、そちらに出店しておられる方も多いのか、お店の数は少ない気がしました。くるりとまわったのですが、ピンとくるモノに出会えず、残念(昨日散財しているから、内心ホッとしたりして)。そうそう、意識したモノがありました。以前ご紹介した、"こけし郵便"です。お値段的に手がでなかったのですが、種類がたくさんあり、こんなにあるんだって感心しました。でも、過去に何度も来ている富岡八幡宮なのに、よく見ると、本殿は個性的な形をした建物なのですね。あまり見ないつくりだと思うのですが‥‥。なにはともあれ、目的達成。来れたことに満足して、のんびり帰ったのでした。

46-10.JPG

 

46-11.JPG

 

46-12.JPG

さて、今回ご紹介するのは、ガラスでできた戸滑器です(白い陶製のモノもひとつ混じっていますが)。ひっくり返して並べてみると、形が橋に似ていると思いませんか? ずらりと縦に並べたのは、隅田川に架かった橋をイメージしたのですが‥‥。ちょっと強引でしょうか。これらは、いわゆる"代用品"と呼ばれるモノで、戦時中、物資が不足したために、それまで金属でつくられてきた戸滑器や戸車が、ガラスや陶器、木などで代わりにつくられたのです。ガラスでできた戸滑器は、色合いがとてもきれいで、形もさまざま。意識しているうちに、ポツポツと手元に集まってきました。

46-9.JPG

戸滑器の中には、「新案特許」、「特許」、「2」などの文字も入っており(文字が小さすぎて、私には撮影できませんでした)、貼られた紙には「特許 伊丹式戸滑器」と書いてありました。当時の引き戸の開け閉めを、この小さなガラスの戸滑器たちが、手伝っていた様子を想像すると、なんだか愛おしく思えますが、強度は大丈夫だったのでしょうか。あまり頻繁に開け閉めすると、マズイように思うのですが。ちなみに濃いブルーの戸滑器で、横の長さが58ミリです。小さいので、集めても場所をとらないのはいいですネ! 陶器でつくられたモノは、"時のかけら~統制陶器~"でも、『戸滑り』と題して、2006年9月に紹介しておられます。不安に思った強度に関しても確認しておられ、案外丈夫で、使用できたそうです。また、『戸車』も紹介しておられますが、これは形が可愛くていいです。それにしても、代用品の戸滑器といえど、いろんな種類があるのにビックリです。それだけ需要があったということなのでしょうか。

46-8.JPG


人気ブログランキングへ  

45-1.JPG
45-2.jpg
「さえきさん、私にとって、この本は、今まで思ってきたことの集大成であり、理想の本なのです。これが完成したら、私、もう、いつ消えてしまってもいい、というくらいの思いでつくっているのです」と、庄司さん、いえ、びん博士は、私の目を見て話されました。
「またまた、消えるだなんてやめてくださいよ。でも、集大成ですか。凝ったつくりの本ですね。おもしろそう‥‥」
「いやぁ、そういっていただけると‥‥。読んでくださった方の中には、昔の言葉が多くて読みづらいといわれたりもしますが、この本は読むんじゃないんです。心で見て感じるんです」びん博士の独特の口調に、思わず笑ってしまいます。
45-3.jpg
骨董ジャンボリーの会場で、入口近くにお店を構える、びん博士と何年ぶりかにお会いしたのに、不思議ですね。いきなり普通の会話からスタートです。お店には、びんも並んでいますが、私にとって今回の主役は、びん博士が熱く語られた本です。もちろん買いました! タイトルは『原色日本壜圖鑑』。びんの本をつくっているという噂は聞いていたものの、ようやく実物を見ることができました。紺色の厚手の表紙に、箔押しされた銀色の文字が、なんだか、とても懐かしい感じがして、昔からあった書物に出会えたような、そんな錯覚を感じさせてくれます。穴を開けて、新刊がでるたびに綴じていくというスタイルも、収集家のハシクレ(?)としては、ワクワクするつくりです。もちろん、穴を開けずに、興味ある1冊だけ、お手元に置かれるのも大丈夫です。思えば、昔の本にとって、"原色"、いえ"カラー"って、とても貴重でした。本に写真を載せること、それもカラー写真を載せることは、お金も手間もかかって、大変なことだったのです。だから、わざわざタイトルに"原色"とつけて、見る人に「カラーありますよ」って、宣伝したといいましょうか、それくらい価値がありました。そんな価値ある『原色日本壜圖鑑』は、現在までに3冊発行されています。
45-4.jpg
第0巻【はじめに】では、壜との運命の出会い、図鑑が好きだった少年時代の話にはじまり、最初に出会った壜の紹介や、その壜の背景にある素性など、詳しく紹介してあります。
第一巻【イヒチオールびん篇】では、複数のイヒチオールびんを原色で紹介しながら、会社や製造者の写真を交えて、素性などを細かく書いておられます。
第二巻【育蠶活桑器びん篇】では、育蠶活桑器びんの原色写真は、もちろんのこと、実用新案登録されたびんたちの登録内容まで掲載してあり、びんのこともよくわかりますが、日本で、これらのびんが産まれるまで、いかに蚕が飼育され、産業として栄えてきたかを、うかがい知ることもできます。
45-5.jpg
以上、どの本もびんを通して当時の世相までわかる、単なるびんの本ではない、日本の壜図鑑なのでした。それも、大半の部分が手づくりだというからスゴイです。ページをめくると、薄手の紙の次に、その本の主役となるべく、びんの写真が1枚貼ってあります。本文中の原色写真は、印刷されていますが、最初の1枚だけは、ていねいに切り貼りされているのです。お店でお手伝いをなさっていたWさんが、1枚1枚貼られたそうで、「すみません。よく見ると曲がっているかも」と、手渡してくださったのが印象的でした。もちろん本文のデザインも凝っていてステキですし、本誌の表紙の文字だけ活版印刷というのも見逃せません。実にこだわっていますね。次回は「神薬」のびんで、前篇、後篇と2冊になるそうです。神薬びんは、はじめて見た時、商品名で感激し、美しいブルーの色と、小さな可愛らしい形のびんに、大好きになりました。種類も多く、私は数本しか持っていませんが、とても楽しみです。
45-6.JPGそして、これまた、ずっと気になっていたCD『壜博士の"ボトル・フラグメント"』(歌詞、作曲、歌、演奏 庄司太一)も、ようやく買うことができました。庄司さんの歌は、何度か聞いたことがありますが(その31その32参照)、家に帰って、「大きなび~ん。小さいび~ん」と、独特の歌声を聞いていたら、どういうわけか、NHKの幼児番組『いすのまちのコッシー』という、人形劇が頭に浮かんできたのです。どんな内容かというと、椅子の街で暮らす、いろんな種類の椅子たちが、人間関係ならぬ椅子関係の中で、悩んだり、遊んだり、学んだりしながら成長していく話で、この人形劇、椅子じゃなくて、びんでもいいかも‥‥と突然思ったのでした。びんもいろんな種類があって、立場(?)があって、物語にするのは悪くないと思ったのです。形は単純だし、"容器"って掘り下げると深いと思います。もちろん主題歌は、びん博士で‥‥。なんて、そんな世界を想像(妄想)してしまうほど、びん博士の歌は、ストーリー性が高いと思うのです。当然、9曲すべてびんの歌です。
45-7.JPG庄司さんの低い声に安心したのか、もぞもぞ暴れていた娘は、ストンと眠りに落ちました。これは帰るチャンスです。慌てて出口に向かうと、主催者のお1人である竹日忠芳さんと、以前からお世話になっている業者、Mさんにお会いしました。みなさん、本当にお元気そうで、パワフルに頑張っておられます。私も頑張らなくっちゃ!と思い、ご挨拶をして会場を出ました。ここから、有明駅までが遠いんですよね。寝ている娘は、重い。重い。でも、今のうちに電車で行けるところまで行かなくては。有明駅について、ビックサイトに向かって写真を撮りました。何度も見てきた景色なのに、今までとは少し違う感じに映ります。幸い娘は1時間ほど寝てくれまして、起きたのは家の近くでした。「今日はありがとう」と頭をなでると、ニカッと笑いました。

追記:いつもはカタカナで"ビン"と書くのですが、びん博士は、"びん"または"壜"と書かれるので、同じように書きました。それと、あと3つ小さいモノをつれて帰ったのですが、それらは下調べが済んでから、ご紹介しするとして、2011年夏の骨董ジャンボリーのお話は、ひとまず終了したいと思います。

45-13.JPG

今回は、ひさしぶりに、びん博士と奥様にお会いできたお祝い(?)として、長年うちにいるビンをご紹介します。"東京淀橋 萬歳商會謹製"の"萬☆歳"、"BANZAI"と、右横書きで描かれた、高さが273ミリ、底の直径が58ミリの細長いビンです。バンザイマスクに続く、バンザイビンですね! なんともメデタイ感じがします。飲料水のビンだと思うのですが、なにが入っていたのでしょう。よく見ると、昭和初期の空気、アワアワがたくさんあって、魅力的なビンなのです。

45-8.JPG

 

45-9.JPG
45-10.JPG

ご案内

45-11.jpg

手づくりの本といえば、串間努さんがつくっておられるミニコミ誌を忘れてはいけません。タイトルは『旅と趣味』。"昭和娯楽の総合趣味誌"と書かれるだけあって、ものすごく濃い内容の、読むと達成感が得られる趣味誌です。それも、表紙や誌面に、昔のラベルや袋などが、そのまま貼ってあるのです。作業の様子を想像するだけで、深く頭を下げたい思いになります。実は、私も参加させていただいてます。『御朱印収集の旅』と題しまして、今回は江戸五色不動について、書きました。そのほかの内容は、あらためてご紹介しますが、今回は緊急告知をしたいと思います。

来たる8月14日、日曜日、東京ビックサイトで開催される、超有名なコミックマーケットに、このミニコミ誌&バックナンバーを持って、串間努さんが参加されます。

☆場所は、東2ホール Oの58aです。

また、まぼろしチャンネル管理人でもある刈部山本さんも、新刊『戦跡商店喰い』を持って参加されます。お2人とも同日です。コミケには、アニメ以外にも、さまざまな物事を研究したり、調べてまとめたミニコミ誌が、たくさん並びます。興味のある方は、ぜひ!

☆場所は、東"R"-11b「ガキ帝国」です。

45-12.JPG
人気ブログランキングへ  
前の3件<… 14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24 …>
...トップページへ

Author


    さえきあすか -asuka saeki-
    忘れ去られてしまいそうな、昔なつかしいモノたちに魅せられて、コツコツ集めています。古くさいけど、あたたかくて、あたらしい。そんな愛すべきガラクタたちをご紹介します。

    旧サイト連載:
    駅前ガラクタ商店街
    …昭和以前の生活雑貨録

さえきあすかの本

Powered by Movable Type 5.03

2015年11月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

このアーカイブについて

このページには、過去に書かれたブログ記事のうち暮らしカテゴリに属しているものが含まれています。

前のカテゴリは文房具です。

次のカテゴリは書籍です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。